御法度

日本社会の暗黙の風潮となりつつある若さに対する過剰な幻想を僕は抱いていないつもりです。
年齢を重ねる毎に増していくものも確実にあるし、何より僕自身、昔の僕より今の僕の方が格段に良い、
また良くなっていなくてはならないと思っております。
しかし、わかってはいてもこんなに心を揺さぶられるものなのですね…!

ああ、十代のジョットがこんなに可愛いとは…!

そう、今日僕はジョットの記念すべき映画デビュー作品を観ております。

無名の小劇団に所属していた15歳の少年を、監督が主演に大抜擢したのです。
監督がどこからともなく連れて来たあの美少年は誰だ!?と、当時は大騒ぎだったようですね。

向こう側が透けてみえそうな程白い肌にあどけない頬の輪郭。
今よりやや大きく見える瞳は、今と変わらぬ鋭い眼光で人の心を正確に射抜く。
まだ成熟しきっていない身体は細く頼りなく、
しかし少女の柔らかい丸みを帯びたそれとは一線を画すように角張った骨が浮き出ている。

その傷つきやすい潔癖さを衣服の下に隠し持った危うさが、見るものの欲望と嗜虐性をかき立てるのかもしれませんね。

むき出しになった白い裸足のくるぶしが……って、ちょ、ちょっと!それは脱がせ過ぎでしょう!
いたいけな少年に何をするのですか!
大体、さっきからこの俳優は何なのですか!いちいち顔が近いのですよ!

…わかっていますよ。演技なんですよね。わかってはいますが!
この初々しく瞳を潤ませる幼い彼が時折に放つ、
無防備で無邪気ゆえに壮絶な色香に惑わされた人間は数限りなくいたのでしょう。

観ていると思わず手が震えます。この映画の共演者のように、あの細い肩を強く抱き締めたい …!!


「こら。夢中で何を観てるのかと思ったら」

髪を引っ張られ、振り返るとそこには液晶画面に映る人物の成長した姿が。

「あ、お、おかえりなさい。すみません、気付きませんでした…」

「電気くらいつけろよ。AV観てるんじゃないんだから」

AVよりずっとそそられますよ。
もちろん口には出しませんが。

懐かしいなあ、と画面を眺めていたジョットは、ふと上目遣いにこちらを見て笑いました。
それはまさに魂を売り渡しても惜しくはない悪魔の笑顔。

「この少年と今の俺、どっちが可愛い?」

もちろん、貴方ですよ。貴方を可愛くするために、毎晩僕が念入りに愛してあげているのですから。

後の囁きはベッドの中で…。


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