お熱いのがお好き

今日のスケジュール、番宣の為情報番組にゲスト出演。
なので、家を出るのは日が暮れてからで十分間に合う。
半日オフみたいなものなので、昼間は家で一人ゆっくり…。
する予定だったのですが。


「ただいまぁ〜。骸、いる〜?」

いきなりのジョット様のご帰還です。
はいはい、いますよ。 しかし、おかしいですね。今日の夜まで仕事だと聞いていたのですが。

玄関までお出迎えすると、そこにはジョットがニコニコと機嫌良さそうに笑って立っていました。
それはいいのです。
問題は、玄関でコートを脱ぎ捨てた彼の服装が、舞台衣装のままだった事です。

「ポスター撮影のロケ地がうちの近くだったから、ちょっと抜けてきちゃった」
ちょっとお待ちなさい…。
普通の衣装なら僕だって文句は言いませんよ!
しかし、目の前の彼の格好は、前面が編み上げの合皮でできたビスチェに、生成り色のガーゼ生地のくるぶしまであるロングスカート(ただしそれは所々大きく縦に引き裂かれていた)で。


どう見たって女装じゃないですか!
しかも、女性が着るにしたって少々露出が多過ぎるのではないかと思われる格好ですよそれは。
むき出しの細い肩と破れたスカートの隙間からチラチラと見え隠れする白い太腿に眩暈が…。


「…それで外を歩いてきたわけじゃないですよね…?」
「まさか。スタッフに車で送ってもらったんだよ。これで外に出たらただの変態だよ」

あはは、と笑いながら僕を追い越してリビングへと向かうジョット。
大きく開いた背中にくっきり浮かんだ肩甲骨を不埒な気分で眺めながら後についてゆく。

「現場へはタクシーで戻るから大丈夫だって」
「…いいえ。僕が車で送っていきます。それ以外は許しません!」

ジョットはたっぷりと布地を使って作られた軽いスカートの裾をはためかせながらリビングのソファーへダイブ。
横になった体勢でこっちを見上げてくる。

「心配性」

そうは言いますが、当然の反応だと思いますよ。
たとえ編み上げから見える胸が間違いなく男のものであっても、不逞な輩に妙な気を起こさせるには十分です。

「何?ああ、これ?胸に詰め物すると完璧女に見えちゃうんだよね、俺。それだと演出の意図とずれるからさ」

…どんな舞台なんですか…?最近の彼の仕事に一抹の不安を覚えましたよ、ええ。

僕の心境などまるで頓着なく、彼は足をばたつかせながらお腹空いたなあなどと呑気に言い出す始末です。

「何時までに戻らなくてはならないのですか?」
「後2時間は平気。骸はお昼食べた?」
「まだですよ。そんなに時間があるなら何か作りましょうか」
「うん、でもその前に…」

するり、と彼は自分の膝から太腿にかけてを撫で上げ、神秘のヴェールのごときスカートをぎりぎりまで捲り上げる。

「こっちが先、な」

娼婦のしたたかさで彼は笑う。
僕は溜め息をついて呆れた風を装ったけれど、実際はその強力な誘惑に抗えるはずもないのです。

「貴方は一体何をしに帰ってきたのです?」
「決まっているだろ?お前に抱かれに、だよ」

薄い胸に舌を這わせると、ジョットは甘い声で小さく悲鳴を上げた後、僕の後ろ髪を引っ張って言いました。

「まだ撮影があるんだから、跡は残すなよ?」


さて、それはこの後の盛り上がり次第、ですかね。

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