戯言
●壬生編●
「総司。やっぱり女は色白でなくちゃいけねえ」
「何を言ってるんですか。この前は、女の肌は少しばかり浅黒いくらいの方が気立てが良くて好い、とか話していたじゃないですか」
「そうだったか?」
「そうですよ。まったく、違う女性に惚れる度にころころ意見を変えるんだから」
「お前、よく覚えているな」
「土方さんがいちいち私に自慢しに来るからですよ。しかも自分から言い寄ったくせに、懇ろになるとすぐ飽きて捨ててしまうのだから始末が悪い」
「五月蠅え。お前にはわからんかもしれんが、男女の情ってのは色々複雑なんだよ」
「わかりますよ。悪い男だな、土方さんは」
「…………お前が女だったら、俺は間違いなく惚れてただろうな」
「はい?」
「いや、急に、な。お前の、白い肌も可愛い顔も聡明な性格も、全部好みだと思ってな」
「私がもし女だったら、土方さんみたいな女たらしは絶対にお断りですよ」
「総司、お前なあ……」
「良かったですね。私が男で。一つ振られずに済んだじゃないですか」
「はいはい。お前を男に産んでくれたお前の両親に感謝するよ」
「……冗談じゃない。私が女だったら、こうして傍で貴方を守れないじゃないですか」
●東京編●
「あの高荷の女医、あれはお前の女なのか?」
「はあ?なんだそりゃ??」
「違うのか?」
「違えよ。アイツが惚れてんのはもっと、別の男だ」
「そうか。たしかにあんな美人、お前には勿体ないか」
「っせえ。つか、珍しいな。いっつもひねくれた事しか言わねえてめーが他人を褒めるなんて」
「俺はいつでも正直だ」
「嘘つけ!……っかお前、恵みてえなのが好みなのかよ」
「美人だからな」
「ちっ、面食いめ」
「実際佳い女じゃないか。あれは気は強いが、最後にはきちんと男を立てる女だろう」
「へえぇー……」
「なんだ?嫉妬か?」
「馬鹿、どっちにだよ」
「まあ、心配せんでも、今俺が惚れてるのはお前だけだぜ?」
「……それが一番嘘くせえっての」
●京都編●
「そういえば、四乃森さんの好みの女性ってどんな人なんですか」
「あ!それあたしも聞きたい!どうなの?蒼紫様っ!」
「…………」
「ああ、でも操ちゃんみたいな人か。決まってるよね、何たって奥さんだもの」
「そ、そうかなあ?でもあたし美人でもないし、騒がしいし落ち着きないし……」
「…………」
「僕は操ちゃん、好みだけどな。明るくて、いつも元気で、辛い時でも笑顔で乗り越えられちゃう所とか、すごく好いと思うよ」
「宗ちゃん……なんて優しい子なの!」
「…………」
「嫌だなあ。僕はちっとも優しくないよ。四乃森さんに比べたらね」
「ああ、それ分かるー。蒼紫様が優し過ぎるから、自分が嫌な子に思えちゃうんだよね」
「…………」
「でも優しい所が四乃森さんの一番素敵な所だもんね。……で、どうなんですか?四乃森さんの好みのタイプは?」
「ドキドキ……」
「そうだな。明るくて、いつも元気で、辛い気持ちも心の奥に隠して、周りには笑顔を振りまける人、かな」
「蒼紫様……!あたし嬉しい……っ!」
「良かったね、操ちゃん」
「……あれ?でもそれって、ほんとにあたしの事かなあ?」